週刊VOCALOIDランキングについての考察。

今回はランキング動画について考察していきたいと思います。
VOCALOID系のランキング動画の筆頭といえば、週刊VOCALOIDランキングでしょう。
VOCALOID系ランキングとしては最初期存在し、高い注目を得ているランキングです。

最近はこの動画に対して細かい注文も出ているようですが、
一体どうしてそのような意見が出てくるようになってきたのかをメインテーマとして考察を行っていきたいと思います。


前々からこのような内容については様々な議論が行われていますが、とあるUP主の動画削除などから
ニコニコ動画の再生傾向について改めて知ったことがあったのでそれを踏まえつつ自分の考えを述べていきたいと思います。



1.週刊VOCALOIDランキングが影響を持つに至った主要因

・初期の有名ランキング動画の形式を踏襲し、動画としてクオリティを保っている。
・露出、他ランキングへのリンクを控えることで、UP主の独自性を保っている。
・毎週ほぼ決まった時間帯に動画がアップロードされる。
VOCALOID系最初期のランキング動画であり、今日まで継続されている。
・紹介される動画の再生数が比較的大きいジャンルであり、かつ音楽という一定の方向性がある。


簡単にですが、以上5点が主要因だと自分は考えます。

一番大きいのは、最初に始めたということと継続しているということですね。
格段に動画の質が悪くない限り、「最初」というのはかなりのアドバンテージになります。
最初ということは、初期にVOCALOIDのランキングをみたいというニーズを満たせるのはこの動画しかなかったということです。
古くからVOCALOID動画を見ている人ほどこの週刊VOCALOIDランキングを見たことある人は多いと思います。


注目したいのは、毎週ほぼ決まった時間帯に動画がアップロードされることが「継続」されていることです。
これが意味するのはテレビ番組、週刊誌等既存メディアの番組と同じ展開がされているということになります。

継続されることにより、視聴者は

毎週月曜日の深夜には「週刊VOCALOIDランキング」という「番組」が放送される

という状態になっているんですね。
これはもうUP主の継続努力の賜物という他ありません。
仕事でもなんでもない動画を毎週定期的にアップロードする。
この継続性自体が商業レベルそのものです。

世に出ている定期的な商業発行物は定期的であるが故に信頼を得ています。
週によって、放送日・発売日が火曜日や木曜日だったりバラバラな番組・週刊誌を継続して見ようという人は少ないと思います。

ニコニコ動画の主な視聴者層に10代がいることからも週刊というのはちょうどいい期間です。
何がちょうどいいのかというと、現実の日々のサイクルのほとんどが週単位だからです。

一番分かりやすい例で言えば休日。
多くの職場、学校では休みは週単位だろうと思います。
学生だったら時間割も週単位。

ということは週単位に予定を立てている人が多いと言えると思います。
何曜日に何をするというのが明確ですから、週刊だと予定も立てやすく便利な期間だと考えられます。

故に最も人を呼び込みやすいのは週刊なのでしょう。

この継続性が齎す効果で一番大きいのは、動画がアップロードされるのが当たり前となっているため
1週間前からほぼ正確な時間帯で、視聴者の視聴予定に予め組み込まれることです。


予め予定に入っている。予めアップロード日がわかっている。
これは本当に大きな効果を持っています。

ニコニコ動画のアニメ等著作権で問題になっている動画でこれらが分かります。
アニメ本編まる上げ動画はアップロード直後に爆発的再生数が伸びるらしいです。
これは放送日がいつだということが分かっているためでしょうね。

ゲームのプレイ動画なども発売日直後に再生数が伸びたりしてないでしょうか。

番組表のないニコニコ動画で、人を呼び込むためには視聴者の視聴予定に入っているのはかなり重要なのかもしれません。



ただし、継続的なアップロードが可能なのは、まとめ・ランキング系動画や既存番組アップロード動画くらいです。

コンテンツを1から創作している動画ではこんなことは出来ないと思います。
一定期間内に継続的に動画を作れということになったら、もはやこれは仕事ですよね。

アップロード日を予告することで、CDやゲームの発売日と同じような再生数の増やし方はできるかもしれませんが・・・。

まー、この手法をとるには以前考察したような影響力のある場、動画で発表しないと効果はほとんどないと思います。



2.週刊VOCALOIDランキングの構成と果たしている役割


週刊VOCALOIDの使い方は人によって以下のように分かれるようです。

・その週の話題になった曲のチェック
・その週の新曲をチェック
・お気に入り曲の動向(話題性)チェック
・ランキング内の動画の上下を楽しむ


どういった目的で見ているかで現状に対する意見も変わってきます。

最近よく目にする意見としては、特定の曲がランキングに常に入るようになっているため新曲の枠が減っているという意見です。

論よりデータってことで、先月の頭にぼかさちのデータを使ってちょっと週刊VOCALOIDランキングTOP30のデータを収集したので以下に記します。
まー、これはSNS内で公開してた分なのですが。(SNSにゃっぽんにて6/3に公開。)

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週刊VOCALOIDランキングTOP30のデータをまとめてみました。

まずはランキング入りしたことのある曲のバージョンの比率です。(2007/10〜2008/5)
(注)オリ曲アレンジ・・・オリジナル曲アレンジ

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オリジナル**** 60.8%
カバー******** 17.6%
アレンジ****** 14.7%
オリ曲アレンジ* 6.8%

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まー、6割がオリジナル曲ってことです。
逆に言えば4割オリジナルじゃなくてもランキングに入るってことです。


次は月別の新曲率と新曲のバージョンの比率

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10月 新曲率 47.5% (新曲掲載数平均14.25曲)
オリジナル**** 50.9%
カバー******** 22.8%
アレンジ****** 24.6%
オリ曲アレンジ* 1.8%

11月 新曲率 34.1% (新曲掲載数平均10.25曲)
オリジナル**** 61.0%
カバー******** 19.5%
アレンジ****** 12.2%
オリ曲アレンジ* 7.3%

12月 新曲率 41.7% (新曲掲載数平均12.5曲)
オリジナル**** 58.0%
カバー******** 18.0%
アレンジ****** 22.0%
オリ曲アレンジ* 2.0%

1月 新曲率 53.3% (新曲掲載数平均16.0曲)
オリジナル**** 56.3%
カバー******** 23.4%
アレンジ****** 7.8%
オリ曲アレンジ* 12.5%

2月 新曲率 56.0% (新曲掲載数平均16.8曲)
オリジナル**** 60.7%
カバー******** 20.2%
アレンジ****** 13.1%
オリ曲アレンジ* 6.0%

3月 新曲率 55.0%  (新曲掲載数平均16.5曲)
オリジナル**** 66.7%
カバー******** 10.6%
アレンジ****** 12.1%
オリ曲アレンジ* 10.6%

4月 新曲率 50.8% (新曲掲載数平均15.25曲)
オリジナル**** 55.7%
カバー******** 14.8%
アレンジ****** 18.0%
オリ曲アレンジ* 11.5%

5月 新曲率 49.1% (新曲掲載数平均14.75曲)
オリジナル**** 76.3%
カバー******** 11.9%
アレンジ****** 10.1%
オリ曲アレンジ* 1.7%

6月 新曲率 56.7% (新曲掲載数平均17.0曲)

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見ていただけるとわかると思いますが、新曲率はさほど変化していません。
年末年始の計算式の変更でむしろ新曲率は増えています。

というわけで、新曲がランクインしていないというのは印象論でしかないんですね。

変わったのは発表する曲数です。

曲数はどんどん増え続けるのに対して、ランキングに掲載される曲数は30曲と定数です。

要は曲が増えれば増えるほどランキングに曲がランクインするのは狭き門となります。


この結果起こるのはランクインしない曲の増加です。

時間が経って曲が多く発表されるほど、必然的にランクインしない曲の割合も増えていきます。

これが新曲がランクインしていないという印象を持たせているのではないでしょうか。



またこれとは別に、何週にも渡って同じ曲が入っている不満もあるようです。
数値計算を行ってランキングを作成されている以上これは仕方のないことだと思います。

ランクイン曲の固定化が引き起こしているのはエンターテイメント性の低下でしょうね。
ランキングの上下を楽しんでいる層もいるようですから、固定化するとこの楽しみが奪われます。


要は、純粋にデータとしてランキングをみているか、娯楽としてランキングをみているかの違いだと思います。


このままデータとして表示させるか、データが面白くないので弄ってエンターテイメント性を高めるか。

ランキングとしては前者が正しいように自分は思えます。



あと、もし新着曲しか紹介しなくなった場合ですが、再生数は下がると思います。
ランクイン曲が上がった下がったで喜んでいる層の楽しみがなくなるため、エンターテイメント性がさらに落ちます。
毎回新曲であるが故に愛着のある曲の減少も引き起こします。
逆に新しい曲の発見があるかもしれませんが、常に新しい曲を求めている層とお気に入りの曲をリピートしている層でこのあたりの確執があるかもしれません。


ランキングをみている層が一週間に何曲VOCALOID曲を聞くかにもよると思います。
週に新曲は16曲ほどランクイン。
そのうちオリジナル曲は10曲前後。

1週間に新着VOCALOIDオリジナル曲を10曲前後聞く人がどのくらいいるのでしょうか。

もし、10曲より少ないのだとしたら、ランキングに載らない曲を聞かない確率は高いでしょうね。


一週間にVOCALOID曲は5曲くらいしか聞かない!
案外、そんな人たち差が各曲の再生数の差を引き起こしているのかもしれません。

人間それぞれ時間は有限ですから、一週間に5曲しか聞かない人の5曲にその曲を選んでもらえるかどうかは大きいと思います。

そのためには、以前の考察で書いたような影響力のある場に曲動画のURLが張られる必要があるのだと思います。
ランキングは2次的な起爆剤のようなものですから、最初はやっぱり各動画でやるしかないでしょうね。

下手に弄ってしまってランキングそのものが面白くなくなり、視聴者離れを起こしてしまうと元も子もないと思いますから。

ヒット作がランキングに掲載されるのであって、ランキングに掲載された後でヒット作になるわけじゃないですからね。



とまぁ、書きたいことは大体書いたので今回はこれまでです。