VOCALOIDって何なんだろうねと思いながら

今週の月曜日、8月31日にミクフェス '09(夏)なるものが開催されました。
ソフトウェアであるVOCALOID初音ミクを主役とした"ライブ"です。
地方民である自分は会場には行けませんので、ニコニコ動画で公開された生放送(有料)を見てました。


どのようなライブだったかはこちらのレポートを参考にしてください。


初音ミクが歌って踊る! ミクフェス '09(夏)レポート
http://ascii.jp/elem/000/000/456/456009/


自分の感想としてはこんなことになったかという驚きと感嘆が第一にあります。


実体を持たないソフトウェアキャラクターがそこに存在するかの如く行われるライブ。
3Dモデルを提供されたSEGAによる頑張りもあり、おーってな感じで見てました。
実体がなくとも念じればそこに存在するとでも言いましょうか。
すごく精神的なものを感じましたね。


何も分からない人がただあの状況だけ見たら狂気を感じると思います。
以前、初音ミクは信仰・宗教といった論を仰ってた方がいらっしゃいましたが、
あながち間違いではないかも。


それほど奇妙さと不思議さと熱狂が混在した空間だったと思いました。
自分もVOCALOIDを聞いている一人として楽しみましたけどね。


それで後で自分の中に残ったのはVOCALOIDって何なんだろうねということなのです。


製品そのものはソフトウェア音源、単に楽器なわけですよ。
でもただの楽器にあの空間と雰囲気を作ることは不可能だと思うわけです。
あの空間ではアイドル(偶像)とかそういった表現が正しいと思います。


互いに違う個体を見つつ、同一のものを想起するという感覚。


んー、なんなのかな。
一つは実体がないということがあるかもしれない。
データとして個体として唯一無二ではないという点。


普通大量生産された量産物でも実体があれば使っていくうちに
そのものについて愛着が沸いたりするじゃないですか。
使い方とか場合によっては傷が付いたりして、〜したときに付いた傷なんだよねとか
思い出が蓄積されて唯一無二な物になっていきますよね。
思い出があればあるほど同じ商品でも後から換えが効かないとか。


自分はユーザーではないので勝手なこと言いますけど
ソフトウェアって個別にそういったことは起きないんじゃないかなと。
アンインストールして再度インストールしたときに
これ今まで使ってた初音ミクじゃないんだなーなんて思う人はいないと思うんですよ。


じゃあ、アンインストールする以前にあった思い入れ・愛着みたいなものは何に蓄積させてるのかというと
初音ミクというソフトウェアの(存在?)概念にではないかと思います。
まー、インストールするパソコンが違うと別に感じる人はいるかもしれませんけど
それはソフトウェアというより環境による愛着の差異だと思いますし。


ソフトウェアそのものに対する思い入れってのはユーザーならそれなりに持ってると思います。
他の音源ソフトでもいいですし、音楽に限らない製作ソフトでもいいですけど。


でも、普通ソフトウェアへの思い入れって直接そのソフトを利用しているユーザーしか持たないと思います。
だってどのソフトウェアを利用したかどうかなんてコンテンツ製作者にしか分からないじゃないですか。


その点で言えばVOCALOIDってのは分かりやすい。
聴覚的な面でもキャラクターという視覚的な面でも。
非ユーザーでも、これはVOCALOIDっていうソフトウェアを使ってるんだなと分かる。
使ったこともない人がソフトウェアに思い入れを持つ←これ重要。


で、やっぱりこの愛着も初音ミクというソフトウェアの概念に蓄積されていくと。
ユーザー・非ユーザーの思い入れが集まってきた結果、なんか偶像的な不思議なことになってるんじゃなかろうかと思うわけです。


1.実体を持っていないということ。(思い入れが個体でなく概念に蓄積される。)
2.直接の利用者・所持者が存在し、利用することで思い入れが持てるということ。
3.非利用者・非所持者でも分かりやすく認知でき、かつ思い入れを持てるということ。


以上、3点を備えてるものってそれなりに限定されてくると思うのですがいかがでしょうか。


1については普通のキャラクターものがしっくりきますけど、2の利用者ってのはキャラクターだとう〜んって感じなのかな。
VOCALOIDのキャラクターって視覚サインとして、3.の"分かりやすく認知"ってのをかなり補完してるのではないかなと思いました。
さらに聴覚的にも訴えてますからね。


というわけで、まとまってないけどこんなことを思った次第でした。


追記

なんか視覚と聴覚で訴えていけば存在感を増してくるんじゃないの?って気がしないでもない。
五感のうちの二つだもの。
日頃二次元的キャラクターを視覚として見慣れてる部類の人なら尚更。