VOCALOIDのキャラクターイメージについて。

VOCALOID SNSで書いた考察5つ目。

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キャラクターイメージについてコメントがあったので今回はその辺りもう少し踏み込んで考察していきます。

このテーマを扱うにあたり、実際に作品製作を行われている作者さんや絵師さんについて触れなければいけないので心苦しいです。
楽しめる場を提供してくださってる方に対して、何か考察するってのはあまりやりたくなかったんですけどね。
今回のテーマだとどうしても避けて通れませんのでご理解ください。

聞き専が何か勝手なことを言ってる程度に聞き流してもらえれば幸いです。


さて、昨日の考察ではキャラクターイメージの分散化が進んできたと述べました。
初音ミクの事例を元に新ボーカロイドの出現からボーカロイドキャラクターのイメージ変遷を段階的に表したした場合、以下のようになるのではと自分は考えました。

1.各々によるキャラクター付け
2.ボーカロイドキャラクターイメージの共有化
3.キャラクターイメージの分散化


楽曲が持てはやされる傾向をみていくと

1.はカバー・アレンジ曲などとにかく数とイメージのネタが必要とされる

2.は1.のイメージ群が共有化された上でオリジナル曲に注目が集まる(発表される曲は数的な意味で、ほとんど追うことができる。)

3.は2.で発表される曲が追いきれなくなり、キャラクタイメージの共有・統一が図れず、各々のキャラクターイメージが出現してくる。

といったかんじです。
では、具体的にどういうことなのか順に説明していきたいと思います。


◆キャラクターイメージの提案期

1.の段階ですが、この期間はキャラクターイメージとなる材料がひたすら出される期間です。
オリジナルでもカバー・アレンジでもネタでもなんでもいいからとにかくアイデアを出せという期間。


◆キャラクターイメージの共有化

2.の段階ですが、ここでは1.で出されたアイデアの取捨選択が行われ、大衆の間での共有化が行われます。
共有化ということですから、そのアイデアが大衆に知られていることが必須条件です。
現状、最も多くの人が利用さているであろうニコニコ動画で認められることが必要となってきます。
多くの人のボーカロイドキャラクターの基本イメージはここで固定化されると考えていいでしょう。
1.の期間で出されたアイデアが多いほど、このキャラクターのイメージは肥大化していきます。
しかし、共有化されたものが少なければ、キャラクターイメージの固定度は小さくなります。

この期間の終わりは曲が追いきれなくなるまでです。


◆キャラクターイメージの分散化

3.の段階ですが、これは曲が追いきれなくなると始まります。
要は物理的に追いきれなくなので、各自でイメージができちゃうということです。
この辺りから〜Pのミクといった、みんなのボーカロイドから誰々のボーカロイドという表現が出てきます。


◆動画主導

以上3つの段階について説明をしました。
これらの段階で気をつけなければいけないのが、ほとんどが動画主導だということです。
曲や絵単体ではないんですね。
それはなぜかというかニコニコ動画における圧倒的な広報能力にあります。
視聴者数が多いということは、それだけ認知できる人も多いということになります。
一部の人のネタよりもみんな知っているネタの方がわかるよねというのは当然ですよね。


◆キャラクターイメージ分散化とピアプロ

キャラクターイメージの分散化が進めば、最終的にはみんな共通のキャラクターイメージというものは消滅します。
しかし、現段階ではそういった現象は起こっていません。
これは何故かというと、他ボーカロイドの組み合わせとピアプロという場の存在だと自分は思っています。

ボーカロイドが組み合わされて使用される場合、そのシチュエーションのパターンは結構限定されています。
この限定されているということはイメージが固定化されているということだと自分は考えます。
各々単体で使用する場合、キャラクターイメージがバラバラでも、組み合わせたとたんにみんなが共有できるキャラクターイメージが生じているのではないでしょうか。

また、ピアプロですが、現在こちらに投稿される絵は現在ボーカロイドに限定されています。
絵師さんと何のコネクションもない曲作者さんが目立つ動画を作ろうとする場合、このピアプロを利用を利用されることが多いかと思います。
で、そうなると必然的に使用される動画にはボーカロイドキャラクターが表記されることが多くなります。

これが一種の諸刃の剣のようになっているのではないかと自分は思いました。
ボーカロイドキャラクター絵を使用することにより、動画に人が来てくれますが、逆にその曲がVOCALOIDという枠から抜け出せなくなってしまう可能性もあります。
ボーカロイドの絵が入っている以上、何かしら各々が持つボーカロイドキャラクターイメージが先入観となってしまいる可能性があるわけです。

ニコニコで人に聞いてもらうにはミク絵を使うしかないという状況の方もいらっしゃるかもしれませんが・・・。
そのあたりが難しいところなんでしょうね。
ピアプロを使えば使うほどツールとしてのボーカロイドから遠ざかっていくというと言えばいいのでしょうか。
一方で、その絵を使うことでこれはみんなが思うボーカロイドの曲だという共有された意識が存在してきます。

クリプトン社が次のステップとしてどういう方法をとろうとしているのか注視したいところです。


ボーカロイドキャラクターイメージを壊す

現状、このボーカロイドのキャラクターイメージを払拭する手段は、もっと別のキャラクターイメージでぶっ壊すという方法のようです。
具体的には、ブラック★ロックシューター森之宮先生☆、護法戦士ソワカちゃんあたりでしょうか。
まー、壊すというよりも別のイメージで上書きするという感覚でしょうか。

これらの場合共通するのが独自に絵を書ける人がいないと難しいってことでしょうね。
歌詞でその世界観に引き込むというタイプの曲でなければ、どうしても視覚的なアシストが必要となります。
その視覚的な部分がボーカロイドキャラクターだと、やはりどうしてもそちらのイメージにひっぱられてしまいます。


◆最後に

えー、何かボーカロイドイメージを使うのは好ましくないという書き方になってしまいましたが、そういったことを伝えたかったわけではないということを書いておきます。
ツールである以上、作者さんにはイメージにとらわれることなく自由に使ってほしいという思いがあります。
しかし、現状ボーカロイドにおいてキャラクターは切っても切れない状況にあるわけです。
可能性を探るという意味で今後キャラクターとどう向き合っていくか、ボーカロイドという檻を外して展開したい人はどうなのかなと思って今回の考察を書きました。